子どもの躾へのアプローチ ~怒ると叱ると伝え方~

 子どもの躾は、社会生活に適応するために望ましい生活習慣を身につけさせることです。大人になって困った人と言われたり、非常識と言われない為にも大人の義務として行いたいですね。子どもは、真っ新なキャンパスです。これから大人がどう接していくかによって、性格や習慣が違ってきます。それは子どもたちの『生きやすさ』『生きにくさ』にも繋がってきます。そして、これから長い間躾を行っていくわけですが、何事も最初がベースになりますから丁寧にしっかりと乳幼児期に関わってあげたいですね。
子どもの躾で叱り方がわからないという声をよく聞きます
叱っているけれど聞いてくれないという声もよく聞きます
どうやったら子ども達の心に伝わるのか考えて行きましょう
◆躾=叱るではない
まず、躾は叱る事ではありません。
社会生活がスムーズにいくように身につけるべき行動や考え方を教えていく事だとしたら、普段の躾は、叱る事ではなく見本を見せる事が中心となってきます。
「挨拶をしなさい」と子どもに言うけれど、挨拶をしない親御さん
「うちの子は、謝れないんです」と言うけれど、子どもに謝罪を言ったことがない親御さん
本当によくみかけるパターンです。
普段のしつけは、親や身近な大人(保育者)が生きる背中で見せていくのが一番効果的です。しかし、時と場合によってしっかりと子どもと向き合って伝えなければならない時もあります。そんな時は、どうしたらいいのかを次に考えて行きます。
◆怒ると叱るは違う
まず、怒ると叱るは違うという事を頭に置いておきましょう
怒るとは、怒りを相手にぶつける事です
叱るとは、相手が良くなるようにしっかりと伝える事です
怒ると叱るは、姿が似ているために混乱しがちですが、子どもに与える影響は全く違います。
怒られた場合
子どもは、嫌な事をされた、いけない事をされた時に感情をぶつけて良いと思います。友達が自分に嫌な事をした時、また将来自分が家庭を持って子どもを叱る時、同じように怒りをぶつけます。しかし、怒りをぶつけても相手は「悪かったかもしれないけれど、そんなに怒らなくてもいいでしょう?なんだか怖い」と思い。取り合えず場を収めるために「ごめんなさい」と言いますが、納得は出来ていません。また、どうするべきだったかも伝わっていません。
叱られた場合
子どもに対して、こんなに嫌だという感情を見せるのは大切な事です。そこまでは怒ると同じですが、「何故こんなに怒っているのか」「どうすれば良かったのか」「直さないとどうなるのか」等を中心とした事を話しますので、子どもも友達や将来の自分の子どもに同じように叱ることが出来るようになります。叱られた場合、相手も納得感があり、聞き入れやすくなります。だだ、相手に伝わる方法で言わないと伝わりませんので次にそれを考えていきましょう。
◆子どもの成長に合わせて叱り方は変える
・わかる言葉と態度で叱る
 子どもを躾ける時ベースに考えるといいのは、儀式です。
 例えば、寝る前には1冊本を読んでから寝る、食事の前にはトイレに行くなどです。
 これは、方程式のように繰り返しによって子どもに見通しを持たせているのです。
 叱る時は、低い声、怒っている表情、そして仕草で伝えます。
 叱るも内容によって軽く注意程度の時もあれば、しっかり向き合わないといけない時もあるので仕草はその時で変えます。
 低い声と怒っている表情は、子どもにとってわかりやすくしているのです。
 子どもは、ニコニコしながら「怒るよ」と言っても、まだ複雑な気持ちを読み取れませんから伝わりません。なので、低い声と怒っている表情はセットにします。
 仕草については、やりやすいようで良いと思いますが、毎回同じにすることが大切です。
私の場合
 軽く注意or以前にしっかり叱って子どもが悪い事だと理解している時は、両手や指で×を作り「ダメ」と言います。
 しっかりと向き合う時は、両手で子どもの顔を包み込み顔を固定して目を合わせます。
 これは、目を合わせると誤魔化したり逃げたりしにくいのと真剣さが伝わりやすいです。
また、子どもは逃げたいが為に後ろに思いっきりのけぞって倒れようとするのでそれをガードする為でもあります。
 両腕を持ってやって見たこともありますが、あっちむいたりこっちむいたりで話を聞いてくれず結果時間が長引きます。
 叱る作業は、どちらも精神的に疲れるので出来れば短く終わりたいと思いそうやってますが、もしかしたらもっと良い仕草があるかもしれません。
 園で子どもが、私に顔を挟まれて目を合わせると
 『真剣な話』なんだとわかり、きちんと目を合わせて落ち着いた状態で話を聞きます。
 これが出来るようになると、叱らなくても「ん?」と声を低くしたり、怒った表情にするだけでハッとしてやめる事が出来るようになったり、1回止まって考えるようになったりします。
また、言葉にかんしても遠回しに長く話してもなかなか伝わりません。
その子がわからない理屈を説明しても伝わりません。
そういう時は、本人が話せるキーワードを多めに使って話すといいですね。
3歳以降の言葉がある程度理解できたくらいの子でしたら、叱りながら質問を投げかけ
自分で答えを出させると納得感がUPします。
・叱らないで良い環境
 保育士さんによく言うのですが、「そこ入っちゃダメ」「それしちゃダメ」あれダメ、これダメ・・・・子どもは、好奇心の塊みたいなものなので、なぜダメと言わないといけない環境にしておくのか?という事です。入れないように、入ってはいけないというような環境であれば言わないで良いと思いますし、出来ない環境にしてしまえば「ダメ」という回数は減るでしょう。保育士の手間を惜しんで、子どもを叱るのはおかしなことです。
 子どもは、無駄に叱られる回数が多いとそれなりにしょんぼりしてしまいます。または、叱られることに慣れて、少々言われても気にしなくなります。どちらにしてもあまり叱られるのはいい事ではないですね。叱られる経験は大切です。
叱られることで、学びや心の強さ、理解力など多くのものを培います。
しかし、無駄に叱られることは それこそ可哀想ですね。
・教えてない事
 無駄に叱られることで思い出したので書いておきますと、教えていない事を叱るのは子どもにとって理不尽だと思います。子どもは、色々な事が初めての経験ですので説明していない事や教えていない事は叱らないであげてください。初めての事に関しては、子どもは全く悪気がありません。教えてからも続けるような時は、しっかりと叱ってあげてくださいね。
・言葉遣いは丁寧に
 可愛くて若いお母さんがお子さんに「こぉら!わかってんのかテメェ!!やるなって言ってんだろ!」と驚くような言葉遣いで話しているのを聞くと、『ああ、この人はご両親からかなり汚い言葉で怒られてたんだな』と思います。そして『この子は、将来に自分の子どもを同じように怒るんだな』と思うのです。
 人間は感情的になると、自分が経験し体で覚えていることが自然と出てきます。汚い言葉で怒られた子どもは、意識しないと汚い言葉で怒ってしまいます。だから、遺伝するんです。
せっかく叱ってお子さんを良くしようと思っていても、言葉が汚いだけで残念な感じになってしまいますね。叱る作業は出来るだけ効果的に、出来れば静かに淡々と言い聞かせていけるといいですね。
◆叱ったらフォローまでがセット
 みなさんは、叱った後フォローを入れていますか?
 フォローを入れる事で、子ども達は叱られた事をさらにしっかりと胸に刻んだり、相手に対してのわだかまりを持たないようになるので、叱るとフォローはセットだと思ってください。
 フォローは、叱ったあと直ぐに入れるフォローとしばらく経ってから入れるフォローがあります。
例をあげると
お友達を叩いたA君。何度軽く叱っても面白がって叩きます。
それで、A君に向き合って叱りました。A君は、色々と誤魔化そうとしましたが、最後は『友達を叩くのはダメ』だとわかったようです。「お友達を叩いたらいいのかな?」A君「ダメ」
「なんでダメなの?」A君「痛いから」と言えました。更に「叩いたお友達にどうしようか?」A君「ごめんね」とここまで分かれば本当によく出来ています。その時に、すぐお友達に謝りに行かせるのではなく、A君を抱きしめて『わかってくれて嬉しい』という気持ちを伝えます。その後、謝りに行きます。そして、そこは一旦終わりにしますが数時間後か数日後に友達と上手に関わっているのを見た瞬間に「A君 お友達を叩かないで仲良く出来て偉いね」などの叩かない事が出来ているということ、正しい行動が取れている、それで良いんだよ。と伝えます。すると、子どもは叱られる時よりずっと心にお友達を叩かない事を刻むのです。
これが、フォローの入れ方となります。
◆躾の割合
みなさんは、二宮金次郎をご存知ですよね
小学校の校庭に薪を背負った子どもの像を見た事があると思います。
農民の出ながら、努力して勉強し政治家にまでなった人です。
その人は大きくなって、二宮尊徳という名前になり色々な名言を残しています。
私は、その中でもこの名言が子育ての核心をついているようで好きです
可愛くば 5つ数えて 3つ褒め 2つ叱って 良き人となせ
この割合を胸に刻んで保育に当たろうといつも思います。
◆子どもを叱るなら納得するまで
子どもと向き合って叱る時に、いつも『この1回でわからせよう』と思います。
それは、上記に書いた躾の割合として叱るは重要ですが沢山はいらないからです。
また、人は強化という同じ原因と結果が結びつく事が繰り返されるたび変更するのが難しくなるという心の動きを持っていますから、納得させないで何度も同じことで叱るのは、『またか』と思って更に聞かなくなる事が多いからです。
叱る時に儀式があった方が良い事はお伝えしました。
他にいくつかポイントがあるのでお伝えしますね
・人は、話の最初と最後が心に残りやすい
 なので、まず何で叱られているかを話し・・【話し中】・・最後に、どうすればいいかを持ってくると心に残って叱る回数が減ると思います。
 共感から入ると、自分が悪かった事が薄れてしまうので共感は話の半ばに入れたほうがいいですね。
・大泣きする時
 叱ろうとすると大泣きする子がいます。それを抱きしめてあやす保育士がいるのですが、効果的ではありません。【原因】大泣きする 【結果】叱られなかった の因果関係を強化してしまい次は、もっと長く大声で泣きます。なので、叱る時は泣いても叱るのです。
しかし、泣いている時に話しかけても聞いてはくれません。
その時は「泣くのが終わったらお話しします。」と伝えてそのまま待ちます。
泣くのが落ち着いてきたら「泣くのは終わり?お話しできる?」と聞いて、また泣くようなら待ちますし、「出来る」となんらかの形で伝えてきたらそこからお話に移ります。
・納得してないとき
 泣く・後ろに反り返る・手を外そうとする・目を合わせない等の行動は、まだ納得していない状態です。手を離さず根気よく伝える事を繰り返してください。
・納得したけど、謝れない時
 叱られるのから逃げようとしていた子、聞く耳を持たない子も泣きわめくだけだった子も根気強くポイントだけ伝えるとフッと雰囲気が変わる瞬間があります。プライドで「わかった」とか「ごめんなさい」と言えない子は、そこで「わかったらギュってして」と行動で示すようにするとやってくれます。そうしたら、言葉で言えなくても終わりにしましょう。その後のフォローは同じです。
なかなか、叱るのは難しいですね。しかし、叱られる経験は、忍耐や心の強さを培います。
ストレス耐性も上げます。信頼関係も築けます。叱るのが上手になる為には、叱る事が経験となります。上手く伝えられないと1度の叱りが、長くなったりすることもあるかもしれませんが、数少なく出来るだけ短い時間で子ども達に伝わるように心がけたいですね。
私も切磋琢磨していきたいと思っています。
また、事例をあげて詳しくお伝え出来るといいなと思います。